俺が幼稚園のときの話

俺の幼稚園にはお迎えのバスなんてリッチなものは存在せず
毎日自宅から歩いて幼稚園に通っていたんだ
幼稚園に行く道は二本
近い道と遠い道
俺はほぼ毎日近い道を通って幼稚園と行き来してた
ちなみに遠い道には俺の行き着けの駄菓子屋があって
そこの駄菓子屋には真っ白で緑の目をした綺麗な猫がいた
俺は実のところ猫が苦手なんだが
そこの家の猫は好きで、駄菓子屋に行ったときにはいつも猫を眺めていた
駄菓子屋のばあさんは触っていいよとか言うんだけど、俺は猫苦手だし
第一その猫、なんかこう、触っちゃいけない高貴な雰囲気漂わせてて触れなかった
ただ、綺麗だなぁって見つめてた
ある日いつものように近いほうの道を通って家に帰ろうとしたら
いつもは駄菓子屋のばあさんのひざの上にいるあの白い猫が外に出てるんだよ
あれ、珍しいなぁとか思ってると
いつもは置物のように微動だにしない猫が白くて長い尻尾を俺に向けてひらひら動かすんだよ
こっち来てもいいぞと言われたような気がして、俺すごく嬉しくなって猫のそばに駆け寄ったんだ
そしてはじめてその白猫を触った
猫は目を閉じてじっと大人しくして俺に撫でられてた。すごく温かくて心地よかったのを覚えてる
猫触ったついでに駄菓子屋よってばあさんとだべって
そのまま遠い道から帰宅した

家についたら親と祖母が真っ青な顔して俺に駆け寄るんだよ
どうしたのって聞いたら
その日、俺がいつも通ってる道に刃物もった変質者が現れて
警察来て大騒ぎになったとか言ってるの
しかも、その変質者が現れた時間がちょうど俺の帰宅時間
親たち超慌てちゃって、俺のこと探し回ってたらしい
その話聞いたときはもう、背筋がゾッとした

あの駄菓子屋はもうないけど
未だにどんな猫見てもなんかおやつあげちゃうぜ